新任職員研修では、「カナンの園で働くということ」を大きなテーマとしています。
研修全体を通して、基本を学びつつ、自分から何かを提案できる人材へと育っていくことが目的です。
受講対象者 | 各現場の長、副以外の中堅職員 |
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場所 | 奥中山学園交流棟 |
講師 | 株式会社 高橋コンサルティングオフィス 代表取締役 高橋 雅裕氏(中小企業 |
高橋コンサルティングオフィス
代表取締役 高橋 雅裕氏(中小企業診断)
カナンの園では、職員の人材育成と実務技術力の向上を法人の重点課題として、2008年度から2012年度までの5年間にわたり、延べ29名の役職員を北欧・ヨーロッパの海外職員派遣研修として実施してきました。この研修は、日欧文化学院の理事長である千葉忠夫先生の多大なるご協力とご支援の中で実現し、継続することができました。
ノーマリゼーションとは、「障がいのある人も家庭や地域で生活ができる社会づくり」という考え方であり、カナンの園の理念の「連帯の輪を広げる~施設づくりは枠づくりではなく、連帯し共に育ち合う家庭・地域・社会づくり~」との願いとも重なるものです。北欧と日本とでは、社会構造や社会保障の仕組みが異なるため、そのままの比較や良し悪しを評価することはできませんが、ノーマリゼーションの理念を創出し、世界の福祉・教育・医療・介護の流れを大きく変えていったバンクミケルセン氏の道程や北欧福祉の源流を肌で感じ、我々の実践を省みる大切な時間となった研修でありました。
第5回デンマーク研修報告 挨拶
団長 及川 忠人
2008年10月18日~26日に第1回合同海外研修を開始し、2012年9月28日~10月7日に実施された第5回合同海外研修まで、当初の目標であった、継続して5回の合同海外研修事業を修了することが出来ましたことをご報告申し上げます。このことは常に懇切丁寧な現地での研修指導にご尽力頂きました日欧文化交流学院理事長千葉忠夫先生に深甚かつ満腔の感謝を捧げたいと存じます。また多くの関係各位のご支援ご協力の賜物であると受け止め重ねて感謝申し上げる次第です。
さて5回に亘る研修事業を振り返ってみる時、何をデンマークから学ぶべきか、海外研修事業の意義についても合わせて吟味することが必要であると思います。そもそも合同海外研修はカナンの園の将来を担う人材育成を目的に実施が計画されて、少なくとも5回連続して行うことが目標とされそれが達成されました。小生が最も重要と思われたことはデンマークがバンクミケルセンの出身と活躍の地でもあり、その歴史的社会的背景等を学び知ることが重要であると思われたことであります。
現場では当たり前のこととして人口に膾炙されており、日本ではノーマリゼーションの理念の普及が依然として必要であることに注目せざるを得ないことは事実でありました。北欧モデルというノーマリゼーションの理念は今でも努力を重ねて、様々な障がいを持つ人々への処遇改善が話題になっていることを知ることも出来ました。
これまでの研修で常に頭の中から消えないことは"真の民主主義"のあり方ということです。デンマークの民主主義が如何に育まれてきたか。その背景にキルケゴール等の人生を実存的にとらえる"自己決定"の大切さがあり、また社会の基盤を為す"連帯意識"は実に歴史を遡ればバイキング活動の物語の存在に深く関連し、また国民高等学校の創始者グルントヴィの国民的指導者・教育者・牧師として素晴らしい活躍があります。
我々はデンマークの医療保健福祉の進歩から学ぶことが多くありますが、その結果に注目する必要がありますが、さらにそれらを形成したプロセスや、それを支えた考え方等を学ぶ必要があると思われます。2011年3月11日の東日本大震災の復旧・復興の途上にありますが、千葉忠夫先生は日本復興論を自ら提案され、これからの日本の国、地域としてのあり方の課題を分かりやすく教えて下さっております。しかし私たち自身の真の"民主主義"の捉え方の吟味こそ、共々に最も大切なことであることを肝に銘じて歩むことが必要であり、その目標こそが合同海外研修によって触発される具体的な課題であると思います。
不思議な神様の恵みと沢山の方々からのご支援・ご協力により、5回に亘って合同海外研修を実施することが出来たことを誇りに思います。おわりに千葉忠夫先生のご指導に重ねて感謝申し上げまして、合同海外研修・団長としてのご挨拶に替える次第であります。