自分の「働く価値」を知る

新任職員研修では、「カナンの園で働くということ」を大きなテーマとしています。
研修全体を通して、基本を学びつつ、自分から何かを提案できる人材へと育っていくことが目的です。

研修・制度

新任職員研修

STEP1 カナンの園で働くということ
  • カナンの園の基本理念について
    沖縄のハンセン病患者マンダルさんとの思い出や、ドイツのキリスト教神学者マルティン・ニーメラーの「主観的な正義感は世界を平和にしない」という言葉、同じくドイツの神学者ディートリッヒ・ボンフェッファーの「自分の満足を満たすために正義感で行動するのではなく、誰が助けを必要としているのか、どういう行動が求められているのかで行動することが大切」という考え方などを紹介しながら、イエス・キリストに人格的に出会い、自分の道を見出していくことの大切さについて語ってくれました。
    カナンの園の歴史~戦後開拓からカナンの園設立まで~
    カナンの園を具現化するために中心になった3人の若者がいて、その輪が少しずつ広がっていき、様々な導きがあってカナンの園が出来上がっていったという内容でした。40周年記念誌「カナンの園40年の歩み」を使い、写真を見ながら振り返る斉藤理事は、中心になった3人の人物の一人ということで実感を込めて思い出を語ってくれました。新職員たちは皆記念誌の写真に見入り、先人達の足跡に思いを馳せました。
    記録の書き方
    記録をとる目的について、①情報を共有するため、②自分の行った支援内容を点検し、技術を高めるため、③チームで仕事をするためのツールとして、④仕事の社会的責任を明らかにするため、という四つを示した上で、具体的な事例の提示、用語や概念の解説等について、膨大なパワーポイント資料を使って説明してもらいました。記録の書き方に難しさを感じていた新職員たちはうんうん頷きながら話を聞き、終了後にもさらに質問をして理解を深めていました。
    保護者の方々の話しを聴く
    研修では、三愛学舎・小さきむれの里・となんカナンを利用されている方々の保護者から話しを伺いました。自分の子どもが誕生した時、乳幼児期の頃のエピソードなど、子育てなかでの出来事や感じたこと、考えたことなどを、それぞれの方が話されました。話しを聴いた後の感想では、「自分が仕事で関わる人たちの保護者さんの体験や想いなどを聴くことができ、今後も責任もってしっかりと関わっていきたい。」との意見も聞かれ、保護者の話しは、一人一人の研修参加者の心に響いたようです。
    施設にあった人をつくるのではなく
    全体研修担当になった今年度、知らない世界が沢山あります(汗) 新職員研修に参加している皆さま、私も昨年度は研修に参加しましたよ~。 いつもバタバタしている私にはずっと座っているのが大変でした(笑) しか~し!"はなしをきく"ということは、人との関わりを 仕事としている私達には鉄板(テッパン)です。"きく(聞く、聴く)"と "おもう(思う、想う)"ことがありますよね?それを今度は 発信していってほしいです。(言いたいことわかります!?) あと、プログラムも残すところ1つです。はりきっていきましょー!
  • 8:30
    開会礼拝
    9:00
    オリエンテーション
    9:15
    カナンの園の基本理念について
    10:15
    カナンの園の歴史
    11:25
    記録の書き方
    12:35
    昼食
    13:30
    保護者の方々の話しを聴く
    14:30
    施設にあった人をつくるのではなく
    16:00
    カナンの園の利用者の話を聴く
    17:00
    振り返り(グループワーク)

中堅職員研修

研修概要
受講対象者 各現場の長、副以外の中堅職員
場所 奥中山学園交流棟
講師 株式会社 高橋コンサルティングオフィス
代表取締役 高橋 雅裕氏(中小企業
2014年度  中堅職員研修
  • はじめに
    カナンの園は、10箇所の事業体で多くの事業を掲げ、さらには、市町、県、国、それぞれに役割を持ちながら歩んでいます。職員は250名程になり、3年から10年という経験年数の職員の層が増え始めている状態にあります。 2015年より、カナンの園は、部局制での運営を予定しています。また、カナンの園を創設した草創期の職員が抜け、向こう5年間にも現在中心的に現場を担っている職員の役割からの移行が予想されます。次世代を担う人材の育成が急務となっております。事業管理、サービス管理等、職員間の連携、職員のメンタルヘルス等、中堅職員には、向こう数年の展開を見据えながらの学びが必要であると考えています。
    中堅職員主旨
    課題解決能力(分析力、判断力、計画力、情報収集能力、問題発見力)、実務遂行能力(商品知識、業務知識、業界知識、方針理解力)、対人関係能力(説得力、状況理解力、指導力、コミュニケーション能力、他者理解力)、実行力(積極性、決断力、バイタリティー、持続力)等、総合的に気づきを得る様な研修を中堅職員に行う。
    研修の感想
    今回の研修では、コンサルティングの視点から良い仕事の仕方、悪い仕事の仕方をわかりやすく示していただいたので、普段の仕事をより客観的にふり返ることができました。また、組織や集団の中での働き方を学ぶ機会にもなりました。
    また、私は勤め始めて2年目の時にも、今回の講師の高橋先生の研修を受けさせていただいています。内容を重ねている部分も多くありましたが、そういった部分でも以前とは捉え方が変わっていたりして、数年で自分の考え方にも変化があったことにも気づきました。また、先輩職員・同年代の職員とも交流を深め、情報交換の機会にもなり有意義な時間を過ごすことができました。今後も研修を通して学ぶ機会を大切にしたいと思います。
  • 8:30
    礼拝
    9:00
    開講挨拶、講師紹介
    9:15
    午前プログラム
    12:15
    昼食・休憩
    13:00
    午後プログラム
    17:00
    終了
    17:30
    閉講
    18:00
    懇親会終了

    高橋コンサルティングオフィス
    代表取締役 高橋 雅裕氏(中小企業診断)

北欧福祉研修

カナンの園では、職員の人材育成と実務技術力の向上を法人の重点課題として、2008年度から2012年度までの5年間にわたり、延べ29名の役職員を北欧・ヨーロッパの海外職員派遣研修として実施してきました。この研修は、日欧文化学院の理事長である千葉忠夫先生の多大なるご協力とご支援の中で実現し、継続することができました。

ノーマリゼーションとは、「障がいのある人も家庭や地域で生活ができる社会づくり」という考え方であり、カナンの園の理念の「連帯の輪を広げる~施設づくりは枠づくりではなく、連帯し共に育ち合う家庭・地域・社会づくり~」との願いとも重なるものです。北欧と日本とでは、社会構造や社会保障の仕組みが異なるため、そのままの比較や良し悪しを評価することはできませんが、ノーマリゼーションの理念を創出し、世界の福祉・教育・医療・介護の流れを大きく変えていったバンクミケルセン氏の道程や北欧福祉の源流を肌で感じ、我々の実践を省みる大切な時間となった研修でありました。

第5回デンマーク研修報告 挨拶

団長 及川 忠人

2008年10月18日~26日に第1回合同海外研修を開始し、2012年9月28日~10月7日に実施された第5回合同海外研修まで、当初の目標であった、継続して5回の合同海外研修事業を修了することが出来ましたことをご報告申し上げます。このことは常に懇切丁寧な現地での研修指導にご尽力頂きました日欧文化交流学院理事長千葉忠夫先生に深甚かつ満腔の感謝を捧げたいと存じます。また多くの関係各位のご支援ご協力の賜物であると受け止め重ねて感謝申し上げる次第です。

さて5回に亘る研修事業を振り返ってみる時、何をデンマークから学ぶべきか、海外研修事業の意義についても合わせて吟味することが必要であると思います。そもそも合同海外研修はカナンの園の将来を担う人材育成を目的に実施が計画されて、少なくとも5回連続して行うことが目標とされそれが達成されました。小生が最も重要と思われたことはデンマークがバンクミケルセンの出身と活躍の地でもあり、その歴史的社会的背景等を学び知ることが重要であると思われたことであります。

現場では当たり前のこととして人口に膾炙されており、日本ではノーマリゼーションの理念の普及が依然として必要であることに注目せざるを得ないことは事実でありました。北欧モデルというノーマリゼーションの理念は今でも努力を重ねて、様々な障がいを持つ人々への処遇改善が話題になっていることを知ることも出来ました。

これまでの研修で常に頭の中から消えないことは"真の民主主義"のあり方ということです。デンマークの民主主義が如何に育まれてきたか。その背景にキルケゴール等の人生を実存的にとらえる"自己決定"の大切さがあり、また社会の基盤を為す"連帯意識"は実に歴史を遡ればバイキング活動の物語の存在に深く関連し、また国民高等学校の創始者グルントヴィの国民的指導者・教育者・牧師として素晴らしい活躍があります。

我々はデンマークの医療保健福祉の進歩から学ぶことが多くありますが、その結果に注目する必要がありますが、さらにそれらを形成したプロセスや、それを支えた考え方等を学ぶ必要があると思われます。2011年3月11日の東日本大震災の復旧・復興の途上にありますが、千葉忠夫先生は日本復興論を自ら提案され、これからの日本の国、地域としてのあり方の課題を分かりやすく教えて下さっております。しかし私たち自身の真の"民主主義"の捉え方の吟味こそ、共々に最も大切なことであることを肝に銘じて歩むことが必要であり、その目標こそが合同海外研修によって触発される具体的な課題であると思います。

不思議な神様の恵みと沢山の方々からのご支援・ご協力により、5回に亘って合同海外研修を実施することが出来たことを誇りに思います。おわりに千葉忠夫先生のご指導に重ねて感謝申し上げまして、合同海外研修・団長としてのご挨拶に替える次第であります。

CANAAN GROUP