※ みことば(御言葉)せんべいは、14種類の聖書の言葉を
せんべい一枚一枚に焼印で押しています。
歴史
◆「みことばせんべい」今昔物語
1985年から始められたせんべい作りは、一人の青年(利用者さん)の生きがい作りとして始められました。
彼は養護高等学校である三愛学舎を卒業して、成人入所更生施設小さき群の里の労働部生になりました。その後、職員が一年間付きっきりで、多くの人の手を必要としていた彼にとっての"生きがい"探しに取り組みました。しばらくして職員がたどり着いたのは"こねる、ちぎる"という本来持っている彼の腕力を感謝に変える働きを見つけることでした。こうしてお菓子作りに取り組んだ中から生まれたのがせんべい作りでした。やがて、「ごちそうさま!ありがとう!」と彼が作るせんべいは評判を呼ぶようになりました。当時の職員がこんな言葉を残しています「この事が大きな力となって"おせんべいを作ろう"といった気持ちが彼の行動や言葉にも出始め、次の日のおせんべい作りに立ち向かえたことを強く感じました」「私たちは心の目を開く力がなく見える部分だけで判断してしまいます。でも、一つ一つの小さな関わりを通して考えさせられ、教えられ、目に見えない部分への働きかけの大切なことを感じ得た一年となりました」と。
1990年頃には、せんべいに聖書の言葉(みことば)を焼印で押した"みことばせんべい"が主流となり、労働部生も8人に増えました。弱さを持ち合わせているせんべい作りの職人集団が同時に神様の言葉(みことば)を伝える働きは口コミで伝えられ、お客様も徐々に増えていきました。
2000年には、新設となった授産施設シャロームに工房を移し、20名の利用者のみなさんで全国からの注文にお応えする生産体制を整えました。その工程は、生地丸め、袋詰め、袋にシールを貼る作業、発送のためのクッション材作り(新聞をシュレッダーにかけて小袋に入れる)など、お客様にせんべいを届けるまでを、一人一人の持てる力に応じた生産ラインを作ることで可能になっています。
一人の青年(利用者さん)とのお菓子作りを振り返って『関わる職員たちに委ねられた使命』と題して、当時の資料が残っています。
・多くの人たちが関われるもの
・沢山の工程を作れるもの
・一人の人が全部を作るのではなくみんなで完成させるもの
・その工程の中に誰かがどこかに入れるもの
・毎日コンスタントに働けるもの
・作られたものが社会に広がっていけるもの
今、みことばせんべいは北海道から沖縄まで御注文を戴き、海外にも渡っています。「あったかい"みことば"に心が癒され勇気を戴きました」「皆さまの働きに感謝します」などお客さまからのお手紙も沢山戴きます。「今日も注文きたよ!」の職員の声に、「ヤッター!」と歓声が上がります。今では、その声に職員が励まされる毎日が続いています。
大切にしたいこと
聖句を通して、作り手、贈る人、手にとる者一人ひとりが愛され生かされていることを感じていただけたらと祈ります。